宵の明星

野梨子






2017.1.2の夜空に三日月と金星が仲良く並んでいたのを見てつい描いてしまったもの。



***追記:axicoさまより**



宵の明星、明けの明星なんて言うけれど。
決まった時だけ見掛けは寄り添っている、ただそれだけのことに過ぎない。
その時の、本当の月の位置。その時の、本当の金星の位置。
それを分かりもしていないのに、見掛けだけで…

ふん、と鼻で笑う。

だが知らないことは悪いことではない。
金星がヴィーナスなどと名付けられているのに、どれだけ苛烈な星か。
決まった時間に寄り添う相手がいると、広く知られていることで、どれだけ見る者に強烈な印象を刻めるか。

「野梨子、金星と月が大接近して見えるそうですよ」
「あら、いつですの?」
「次回は月末です」
「では、宵の明星をご一緒しますわ」

明けの明星ではなくて残念、と口に出すには、僕らの距離はまだまだ遠い。
二度三度頷いて、隣の野梨子と約束を結んだ。



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