前回の絵の別バージョン的に。
なんとなく浮かんできたので描いてみました。
(2016.03.05)
***追記:axicoさまより**
「疲れてない、なんて強情を張る割には、ソファで休んだ瞬間に寝落ちするんですから」
起こさないように細心の注意を払いながら、清四郎は組んだ手もそのままに野梨子をそっと抱え上げた。
肩の辺りに来た野梨子の頭を崩さないように体を少し前傾させて位置を変え、静かにその額と瞼の温度を確かめるそぶりで顔を寄せた。
「大丈夫そうですね」
ゆっくりと瞼に唇をつける。この温度が、この肌が、自分の掌中にある間は何も怖くない。たとえ明けぬ夜が来たとしても、 この温もりを失うことより恐ろしいとは思えないのだ。
「おやすみなさい、野梨子」
小さく呟いて、赤い靴の美しいひとを寝台へと運んだ。